特集 超高齢社会―大都市の高齢者支援の課題
高齢社会の都市住宅政策
平山 洋介
1
1神戸大学大学院人間発達環境学研究科
pp.617-621
発行日 2014年9月15日
Published Date 2014/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401103093
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
高齢化する都市のために,住宅政策をどのように構築すればよいのか.住まいに関する高齢層の最大の特徴は,持ち家率が高い点である1).この持ち家は,住む場所を物的に安定させ,さらに経済安定をもたらすと考えられている.高齢者の住まいと経済が安定してはじめて,保健・医療・社会保障などが有効に機能し,社会の落ち着きが得られる.戦後,日本の政府は,住宅所有の普及をめざし,持ち家促進の住宅政策を展開した.この枠組みのもとで,多数の一戸建て住宅が郊外に建ち並び,市街地には分譲集合住宅が増大した.高齢化の段階に入った都市は,持ち家の大量のストックを有し,“不動産都市”としての側面をもつ.しかし,住宅所有に根ざす社会安定が続くとは限らない.以下では,持ち家中心社会の実態を検討し,高齢化都市における住宅政策の課題を考える.
Copyright © 2014, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.