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数年前に本コラムでも紹介した当教室主催の「臨床疫学ゼミ」.2008年7月に開始し6年目に突入,4月から新シーズンがスタートしました.生活習慣病の予防や臨床に取り組む現場の専門職(内科医・産業医・看護職・栄養士・運動専門家等)を対象とし,疫学・統計学の基礎を学ぶことを目的としています.ユニークなのは,参加者のレベルを敢えて揃えていないところです.社内の衛生委員会で発表できればよいという保健師さんから,英文誌にアクセプトされないとマズい…という大学院生までが参加.どんな参加者でもゴールにも使われる疫学・統計学の技術は一緒という発想,さらに先輩がコツや経験を後輩に伝えることで互いに高め合うなどの狙いがあります.80点の人が100点を目指すゼミではなく,40点の人が80点を目指すゼミとも話しています.そもそも学会発表も論文も,最後には一人で夜中に闘わなければいけない時が来ます(笑).そんな参加者のエンパワーメントに繋がればと願っています.
発足当初から続いているプログラムは「ピアレビュー」で,参加者が40分の持ち時間で自らの研究のアイデアや結果を説明し,参加者全員から質問やアドバイスを受け,整理した白板をデジカメで撮影して本人にフィードバックするものです.研究のレベルは様々で,論文化されているものから,全く研究の体をなしていないものまであります.ゼミ2~3年目には,データを持っている現場の専門職と,統計ソフトと時間はある大学院生が,少人数の「ワークショップ」を行い,研究計画を作る試みもしました.4年目からは講師役を増やし,系統的な講義を「新ワンポイントレクチャー」として提供し,疫学・統計学の知識の底上げを図るようにしました.
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