映画の時間
―「私には欲しいものがある!」愛らしく,したたかな闘いが社会の壁を乗り越えてゆく―少女は自転車にのって
桜山 豊夫
pp.1031
発行日 2013年12月15日
Published Date 2013/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102918
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かつては日本でも女性が自転車に乗ると好奇の目で見られた時代がありました.「二十四の瞳」(1954,木下恵介監督)で高峰秀子が演ずる大石先生は自転車で岬の分教場に通って周囲を驚かせました.「青い山脈」(1949,今井正監督)では原節子たちが自転車に乗りながら主題曲を歌うラストが強く印象に残っています.自転車は女性の権利拡大の象徴だったのでしょう.
本作品の主人公ワジダはサウジアラビアの首都リヤドの女子校に通う10歳の女の子です.イスラムの教えを重んじる学校のようで,校長や担任の教師は生徒たちを厳しく指導していますが,そこはそろそろお年頃の生徒たち,それなりに学園生活を楽しんでいます.ワジダは制服の下にジーンズをはくような自由闊達な女の子,コーランもきちんと唱えられず,先生たちの覚えもよくはありません.
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