連載 衛生行政キーワード・91
移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する法律
廣瀬 佳恵
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1厚生労働省健康局疾病対策課臓器移植対策室
pp.928-930
発行日 2013年11月15日
Published Date 2013/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102888
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はじめに
造血幹細胞移植は,血液のがんといわれる白血病などに対する治療法であり,抗がん薬の単独投与により治療が困難な患者についても造血機能の回復などの治療効果が期待できることから,後述する骨髄移植推進財団や臍帯血バンクなどが,日本赤十字社などの協力のもと,骨髄など提供者(ドナー)のあっせんや,臍帯血の検査・分離・保存・公開を行ってきた.
こうした中,平成24(2012)年9月に,議員立法により,
①造血幹細胞の適切な提供の推進を図り,もって造血幹細胞移植の円滑かつ適正な実施に資するため,造血幹細胞の適切な提供の推進に関し,基本理念等を明らかにするとともに,
②講ずべき施策の基本となる事項や,骨髄・末梢血幹細胞提供あっせん事業及び臍帯血供給事業について必要な規制及び助成等について定める
ことを目的に,「移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する法律」が成立した.
本稿では,法案成立の背景となった造血幹細胞の提供に係る従来の取り組みや,法律の施行に向けた議論の状況について概説する.
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