特集 院内感染対策
扉
pp.877
発行日 2013年11月15日
Published Date 2013/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102875
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
平成22(2010)年9月に,大学病院から多剤耐性アシネトバクター・バウマニ(MDRA)のアウトブレイクの報告が保健所にあり,国内ではそれまで報告例の少ない多剤耐性菌による集団感染であったことや広範囲な感染拡大傾向がみられていたことなどから,報道でも大きく取り上げられました.また,当時,国の通知により,院内感染発生を疑う事例がある場合には保健所などへの報告が求められていたこともあり,病院から保健所への報告が遅延したこともクローズアップされました.同時に,MDRAアウトブレイクに対し,保健所から病院側に有益な支援がなされるのかなど,その報告意義についても議論がなされた経緯があります.
その後,MDRAによる感染症が感染症法上の定点届出対象疾患に規定され,制度面における整備強化もなされました.しかし,近年,散見されているMDRAなど多剤耐性菌による院内感染事例では,保健所が今まで扱ってきたノロウイルス,インフルエンザ,結核などのアウトブレイクで培った技術に加え,菌種に応じた新たな対応が必要とされ,保健所における技術面の強化が課題となっています.
Copyright © 2013, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.