特集 日常生活とアレルギー
コチニール色素とアレルギー
杉本 直樹
1
,
穐山 浩
2
1国立医薬品食品衛生研究所食品添加物部第2室
2国立医薬品食品衛生研究所食品添加物部
pp.833-837
発行日 2013年10月15日
Published Date 2013/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102860
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
- サイト内被引用
はじめに
平成24(2012)年5月11日,消費者庁から「コチニール色素に関する注意喚起」として,コチニール色素が添加された食品を摂取したとき,急性アレルギー反応(アナフィラキシー)を引き起こした症例の研究情報の提供があったと報告された.アナフィラキシーを発症した場合,呼吸困難などの重篤な症状となる場合もあるため注意が必要となる.コチニール色素は,赤色の着色を目的として,食品添加物だけでなく医薬部外品や化粧品などさまざまな用途で使用されている.消費者庁の注意喚起を受けて,何らかのアレルギー症状の既往歴のある消費者は,コチニール色素が含まれているか否かの表示を確認することが必要と考えられる.また消費者にコチニール色素の種類や用途範囲の正確な情報を伝えることが,リスク管理上重要であると考えられた.
本稿では,レギュラトリーサイエンスの観点から,わが国と諸外国の規格を基に,コチニール色素とそのアルミニウム結合物(レーキ)であるカルミンがどのような色素であるかについて説明する.また,最近の知見を交えながら,コチニール色素とアレルギーの関係について解説する.
Copyright © 2013, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.