映画の時間
―葉っぱを売って年商2億円―四国いち小さな町で起こった〈奇跡〉の実話―人生,いろどり
桜山 豊夫
pp.765
発行日 2012年10月15日
Published Date 2012/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102565
- 有料閲覧
- 文献概要
徳島市から勝浦川に沿って山間部に分け入る険しい道には,3つの興味深い地名が付けられています.最初の地点は「馬返し」.ここから先は険しすぎて馬では入れず,ここで馬を返して進むという意味です.次に現れるのは「犬返し」.更に道は険しくなり,犬も通れないような道という意味です.3番目の地点は「猿返し」.もう猿でも先には進めないほど道が険しくなる場所です.これら「馬返し」「犬返し」「猿返し」の更に先に,今回ご紹介する「人生,いろどり」の舞台となった上勝町があります.
上勝町は徳島県の西部,四国山地の山深いところに位置しています.人口は少なく,高齢化率が高い,典型的な過疎集落です.台風の影響で主要農産物であったミカンの木が全滅し,地元のJA(農協)はそれに変わる農産物の生産,販路拡大を企画しましたが,なかなか思うようにはなりません.そんな苦境の中で,JA職員の江田は,高地である上勝の特性を生かして,山に自生する「葉っぱ」などを収穫し,料理に添える「つまもの」として販売することを思いつきます.
Copyright © 2012, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.