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岐阜県では,病院従事医師の不足状態が続いている.医師から保健所への届出票の提出に基づく医師・歯科医師・薬剤師調査(2010年12月31日現在,以下「三師調査」)によると,「主に従事する施設」が病院であると回答した県内従業医師数(人口10万対)は112.3人で,全国で少ない方から5番目であった(全国141.3人,都道府県により85.4~200.4人).人口10万人当たり病院従事医師数の県と全国との差の推移を見ると,新医師臨床研修が始まった2004年以降,差が大きくなっており,主として大学附属病院勤務医の増加不足に起因している.一方,県内の診療所従事医師数(人口10万対)は徐々に増加し,2010年には76.8人と全国レベル(77.7人)に近づいた.この結果,医療施設(病院および診療所)従事医師のうち病院従事医師の割合は,全国の64.5%に比べ,59.4%と低くなっている(都道府県により58.5~73.1%).
病院従事医師数については,病院からの従事者票提出に基づく病院報告(2010年10月1日現在)によっても,常勤医師数および非常勤医師の常勤換算数として集計されている.調査時期に約3か月のずれがあるが,病院報告による人口10万人当たりの常勤医師数(県102.3人,全国122.7人)は,前述の三師調査(非常勤医師を含む)に比べ,県で9.9人,全国で18.6人少なくなっており,この差は主として非常勤医師数を反映しているものと考えられる.研修医(初期および後期)の身分(常勤・非常勤)は病院によって異なるが,2009年および2010年採用の初期研修医数(人口10万対)は県9.4人,全国11.8人であり,全国では初期研修医以外にも多くの非常勤医師がいることになる.県内でも非常勤医師が多く集まる病院が増えることが望まれる.
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