編集デスク・8
開業医に売ったBergmann 40余万円
長谷川 泉
pp.314
発行日 1961年6月1日
Published Date 1961/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663904047
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秋田市広小路に三浦書店という本屋さんがある。医学書院の特約店であるから,この地方にはおなじみの方も多いと思う。支配人佐瀬力さんは,まだ26歳という若年であり,この道に入ってまだ年数は少ないのだが,その商売熱心には感心させられる。
この間編集部員が東北に出張して取材をし,かつ全面改訂をした「看護学教科書」や「高等看護学講座」について説明会を開いたりした。その際三浦書店に立寄ったのだが,その積極的な仕事ぶりにほとほと感心して帰京した。だいたい医学書院では,開業のドクターは本をあまり読まないという結論を出している。開業は重労働であり,実際問題として勉強するひまがなかろうし,また病院の勤務医におけるような研究会・抄読会や学会や集談会の刺激がないから,しぜんと本を読むことから遠ざかる傾向にあると見ているのである。これに反して,病院の勤務医は,収入こそ少ないかもしれないが,周囲の雰囲気から,勉強しないと脱落するから,なけなしの金をはたいても本を買い勉強せざるを得ない。自分で本を買わないまでも,医局には本を備えつけることを勤務の条件としても求めることになる。医学書院ではそのように見ているのである。これは,人情の機微にふれた現実論であり,かつ統計的にもそのことが裏書きされている。したがって開業のドクターに本格的な医書を購読させることは,なかなかむつかしいのである。
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