特集 運動とは何か
性ホルモンと運動
相澤 勝治
1,2
,
目崎 登
3
1専修大学文学部
2専修大学社会体育研究所
3筑波大学
pp.448-451
発行日 2012年6月15日
Published Date 2012/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102442
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はじめに
近年,女性アスリートの活躍はめざましく,トレーニング法やコンディショニングなど,女性のスポーツ環境をより充実させていくことが求められている.女性を取り巻く社会やスポーツ環境は大きく変化しており,かつスポーツに接する目的や意義も多様化している.このため,女性の各ライフステージにおける女性スポーツのあり方について考えることは重要である.
性ホルモン(男性ホルモンと女性ホルモン)は,第二次性徴など心身の性差に働くことは知られている.女性においては,女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)によって月経周期が調節されている.女性ホルモンは閉経に伴い低下し,更年期障害や生活習慣病の発症と関連しており,女性の各ライフステージにおいて,女性ホルモンは重要な役割を担っている.一方,激しいトレーニングを伴う女性アスリートでは,月経周期の異常をもたらす「運動性無月経」が問題視されている.それゆえ,女性のスポーツ環境をより充実させていくには,スポーツの目的や各ライフステージに応じた運動やコンディショニングを考える必要がある.
そこで本稿では,女性の月経周期と運動との関連性,体力や身体活動の性差について概説し,特に女性ホルモンの生理作用やパフォーマンス発揮に与える影響に焦点を当て,女性スポーツの可能性について考察する.
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