母性保健特集 女性の特徴
性周期とホルモン
古谷 博
1
1東大分院産婦人科
pp.18-22
発行日 1963年4月1日
Published Date 1963/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202516
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はじめに
女子が思春期に達すると,特有な第2次性徴があらわれ,それと同時に,潮の満ちひきや月令のうつりかわりのような天然自然にみられる現象とほぼその軌を一にして,一定の周期でくりかえし性器出血がおこるということについては,すでに古くから何らかの神秘的なものが感じられていたにちがいない.そしてこの月経という現象が妊娠に関係があり他方では婦人の生活波動の表現であることはすでに知られていた.それほど月経という現象は婦人にとって身近かなしかも具体的な女性の成熟性を示したものであり,また婦人の内的環境の周期性を示しているものである.
近代の学問の進歩により,月経の背後にひそんでこれを調節しているホルモンという物質が発見され,作用機序の詳細はともかく,これが婦人の生理現象を最も大きくかつ周期的に支配していることが明らかにされるに及んで,ホルモンを除外して婦人の生理を,ことに妊娠分娩を含めて,理解することは出来なくなって来た.産婦人科領域においてもホルモンの知識なしにはその全体を把握する事は今日ではもはや不可能である.
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