特集 生食のリスク
扉
pp.5
発行日 2012年1月15日
Published Date 2012/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102304
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昨年春に,焼き肉のチェーン店で腸管出血性大腸菌O111による食中毒が発生し死者が出る事件が起こりました.この原因は店で提供されたユッケ(牛生肉)を食べたことでした.また,その直後にドイツなどで腸管出血性大腸菌O104による食中毒と推定される感染症が発生し,多数の死者と重症者が出る事件も起こりました.この原因は意外にも野菜(sprout)でした.さらに,同様に昨年春,従来は寄生虫はいないと考えられていた馬肉と養殖ヒラメから,それぞれ食中毒を引き起こす寄生虫がいることが発見されました.
現在のわが国では,牛肉の刺身やユッケをはじめとして,牛や豚のレバ刺し,鶏肉の刺身など,いわゆる食肉の生食が一般化しています.さらにシカやクマといった野生動物を生食する地域もあるようです.しかしこれらの肉の生食には,さまざまな感染症や寄生虫症にり患するリスクがあります.
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