特集 分子遺伝疫学
ヒトの分子遺伝疫学研究の原理と方法
山縣 然太朗
1
1山梨大学大学院医学工学総合研究部社会医学講座
pp.732-736
発行日 2010年9月15日
Published Date 2010/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101891
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
クローニングやPCR(polymerase chain reaction)などの分子生物学の発達により,医学研究が分子レベルで展開されるようになって久しい.また,2003年にはヒトゲノム解析計画によって明らかにされたヒトゲノムの30億塩基対の情報が医学,医療に及ぼす影響は計り知れない.それは疫学の領域にも及んでいる.疫学が疾病の発症要因を明らかにする学問である以上,疾病罹患の一要因である遺伝要因を明らかにするために分子レベルでの遺伝情報が必要であり,疾病罹患における遺伝要因と環境要因との交互作用を明らかにして,予防に貢献することが課題となっているからである.この学問領域をヒトの分子遺伝疫学やヒトゲノム疫学(Human genome epidemiology)と言う.本稿では,ヒトの分子遺伝疫学の方法について概説する.また,ゲノム研究と社会との接点についても触れる.
Copyright © 2010, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.