特集 検証「パンデミックインフルエンザ2009」
パンデミックの出現に関する展望と今後の対策
喜田 宏
1,2
1北海道大学大学院獣医学研究科
2北海道大学人獣共通感染症リサーチセンター
pp.687-690
発行日 2010年8月15日
Published Date 2010/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101873
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要旨
鳥インフルエンザ,ブタインフルエンザおよび新型インフルエンザは,いずれも,ヒトの病名ではない.すべてインフルエンザウイルス感染症,すなわち「インフルエンザ」である.インフルエンザの本質とこれまでのパンデミックインフルエンザの発生と流行の事実を踏まえ,今後のその出現に備える対策を講じたならば,昨今の無意味な混乱は避けられたであろう.日本だけで毎年数千名を死亡させ,少なくとも数百名に脳症,多臓器不全を起こしている,季節性インフルエンザの克服こそが,パンデミックインフルエンザ対策の基盤である.特に,現行のインフルエンザワクチンは,反応(自然免疫応答を含む)を除くことに主眼が置かれ,免疫力価を犠牲にして開発されたものであり,これが40年間何の改良もなされず今日に至っている.ワクチンの抜本的改善は,必須にして喫緊の課題である.
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