連載 路上の人々・3
大さんの173通目の便り
宮下 忠子
pp.259
発行日 2010年3月15日
Published Date 2010/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101764
- 有料閲覧
- 文献概要
「前略,ごめんください.先生お変わりございませんか.愚生もどうやら生きながらえております.山(山谷)にいた自分が腹ペコでいる時,目を患って入院している時もお見舞い下され,また色々とお世話をしてくださいましたことは忘れてはいません.呑んだくれの小生は飲まずに生きていきたいと考えております.本年9月に断酒2年目のメタルをいただきますが,これも石井様の親にも勝る多大なる力だと思っています.先生,お体を大切に」
この173通目の便りが,大さんからの最後となった.私と大さんの文通が始まってから13年が経過していた.
Copyright © 2010, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.