特集 がん予防
がん予防に関する感染症学的アプローチ
①子宮頸がんの新たな予防戦略―予防ワクチンの導入や検診方法の見直しに関する展望
川名 敬
1
1東京大学医学部産科婦人科学
pp.886-893
発行日 2009年12月15日
Published Date 2009/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101684
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子宮頸がんの発がん過程にヒトパピローマウイルス(human papillomavirus,以下HPV)が関与することは明白である.1980年代から精力的に行われた研究の成果から,HPVは子宮頸がんの「必要条件」であると位置づけられている.HPV感染なくして子宮頸がんは発生しないという観点から,HPV感染を予防することが子宮頸がんのがん予防になると期待されている.また,HPV感染から始まって発がんに至るまでには5~10年はかかると推定されていることから,がん検診によって前がん状態で食い止めることもできる.このように,子宮頸がんは1次予防,2次予防によるがん対策・がん予防が現実のものとなっている典型的ながんと考えられる.
本稿では,子宮頸がんに対してなし得るがん予防を,現状を踏まえて概説したい.
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