特集 自治体中心の新たな健康政策―Health Impact Assessmentの導入
健康影響アセスメントがなぜ登場してきたのか―環境アセスメントの立場から
原科 幸彦
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1東京工業大学大学院総合理工学研究科環境理工学創造専攻
pp.493-496
発行日 2009年7月15日
Published Date 2009/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101589
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意思決定過程の透明化
日本の環境アセスメント(以下,「アセス」)は,経済先進国の中では残念ながら遅れている.環境影響評価法は1997年に制定されたが,これは当時のOECD加盟国,29か国中で29番目の法制化であった.経済大国の日本だが,環境政策は遅れていると世界は見ている.しかしその後,21世紀に入り,国際協力の分野では,国際協力銀行(JBIC)や国際協力機構(JICA)などが,かなり水準の高い環境社会配慮システムを導入したため,わが国のアセスに対する見方は次第に変わってきたようである.
例えば2007年に,筆者はアセス分野の中心的な国際学会であるIAIAにおいて,日本人としては初めての会長に選出された.IAIAの30年近くの歴史でようやくのことである.IAIAとは,International Association for Impact Assessmentの略で,国際影響評価学会と訳しているが,国際アセスメント学会としたほうがわかりやすいかもしれない.これは,環境アセスメントだけでなく,影響評価(IA)全般に関する幅広い学会で,1980年にアメリカで設立され,今では120以上の国と地域からの会員がおり,国連でも特別に認定された学術団体である.健康影響アセスメント(HIA)も重要なテーマの1つとなっている.
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