特別寄稿
ワーキングプア―解決への遠い道
板垣 淑子
1
1NHK報道番組センター
pp.207-210
発行日 2009年3月15日
Published Date 2009/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101519
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
「年越し派遣村」で明けた新年
今年の年越しは,「年越し派遣村」の取材に追われました.12月下旬,「派遣切り」の数が8万人を超えるということが厚生労働省によって発表されました.数多くの失業者が職を求めて東京に殺到することが予想され,派遣村は,そうした人たちの受け皿として用意されたものでした.当初,100人程度が集まるものと予想され,テントや食料が準備されましたが,最終的には500人余りが村民(派遣切りされた後,住居がない人たち)として名簿に登録しました.朝,昼,夜の炊き出しでは,数百メートルの長い列ができていました.その新年の光景を見ていて「これが日本なのだろうか…」と暗澹たる気持ちにさせられました.ワーキングプアだった派遣労働者たちが仕事を失い,寮を追われて住まいを失うと,ホームレスになってしまう以外に道はないのです.ワーキングプアの番組を最初に放送してから3年余り.事態は深刻化し,解決が遠のいているような気がしてなりません.
Copyright © 2009, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.