連載 Health for All―尾身茂WHOをゆく・37
―公衆衛生と地域の活性化―日本再生を目指して・2
尾身 茂
1
1WHO西太平洋地域事務局
pp.4-5
発行日 2008年1月15日
Published Date 2008/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101235
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前回は世界の保健医療の特徴と日本の相対的な地位の変化について述べた.今回は,日本が抱える課題について述べてみよう.
日本の医療が抱える課題については以前,本欄でも述べた.外から見ると日本の医療が抱える課題として,医療の満足度,医療の質・安全の問題や増大する医療費の問題のほか,最近では医療へのアクセスや医師のBurn outの問題などがあるようである.これらについては,積極的な議論が日本でなされているが,解決に向けては,3つの根源的な課題があると感じている.第一は医療を公共財として捉える認識が低いことであり,第二は,地域レベルで解決を図っていこうとするダイナミズムが不足していることであり,第三は,長期ビジョンが未構築であるということである.
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