連載 衛生行政キーワード・30
精神保健医療福祉行政の動向
鷲見 学
1
1厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課
pp.357-358
発行日 2007年4月15日
Published Date 2007/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101049
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精神保健医療福祉分野においては,ここ数年,障害者自立支援法の施行,精神保健福祉法の改正,心身喪失者等医療観察法の施行,自殺対策基本法の成立など大きな動きがあったが,今回はこれらの動きのうち,障害者自立支援法を中心に紹介させていただきたい.
精神保健医療福祉施策に関しては,これまでいくつかの課題が指摘されてきており,主なものとしては下記のようなものが挙げられる.
●諸外国と比較して精神病床数(現在35万床)が多い反面,地域で精神障害者を支えるための社会資源や支援体制が不十分.
●「受け入れ条件が整えば退院可能な患者」が約7万人も存在.
●全国共通の福祉サービス利用のルールがないことや市町村の財政力格差等により,地域における福祉サービス提供体制に大きな格差がある(介護保険制度における地域格差と比較すると大).
●本人および家族は働く意欲があるのに,必ずしも就労に結びついていない状況がある.
●精神障害への理解が不足しており,依然として多くの人にとって他人事であり,根強い偏見がある.
●福祉サービスの利用者増加に対応する財源が不足する一方で,精神通院医療も利用者,医療費が急増し,現状のままでは制度の維持が困難になる.
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