連載 世界の公衆衛生に貢献した日本人先駆者たち―次世代へのメッセージ・9
ヨード欠乏症対策と私(上)
入江 實
1,2
1東邦大学
2ヨード欠乏症国際対策機構
pp.970-973
発行日 2003年12月1日
Published Date 2003/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100999
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クレチン症との出会い
ご紹介いただきました入江です.今日はお招きいただきまして光栄に存じます.私は,もともとは内科で,内分泌代謝学の臨床と研究をやっておりました.今日のタイトルにあるヨード欠乏症という名前ですが,英語ではIodine Deficiency Disorders(IDD)と呼ばれています.Iodineと言うとヨウ素という名前がふさわしいのですが,日本ではヨードという名前が一般的ですので,敢えて「ヨード欠乏症」と呼ぶことにしています.
それではまず,ヨード欠乏症の概略を説明いたします.われわれの首のつけ根に甲状腺という内分泌器官があります.甲状軟骨という軟骨の出っ張りの下にある輪状軟骨のさらに下にある,蝶々のような形をしたのが甲状腺です.
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