連載 公衆衛生ドキュメント―「生きる」とは何か・16
南京・日本が辿った67年前の悪夢
桑原 史成
pp.526
発行日 2005年7月1日
Published Date 2005/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100770
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中国・江蘇省の省都・南京は,清朝末期から近代にかけて,さまざまな政変の波が通り過ぎて行った.つい最近まで台湾の首都は,この南京市であった.1927年に蒋介石が国民政府を南京に置いたことに始まる.それは一方で,日本軍が南京を進攻することになり,10年後の1937年12月13日から始まった攻略戦で多数の中国兵や市民が殺された悪夢の都市である.
この南京における掃蕩戦は,後に「南京事件」または「南京大虐殺」とも言われるようになった.南京市内の侵華日軍南京大虐殺遇難同胞紀念館には,犠牲者数は30万人とある.この数字は中国側のプロパガンダの誇張であるが,日本軍は8万4,000人と発表している(平凡社刊・百科辞典).このとき一部の日本軍将兵により虐殺や強姦,略奪,放火などの蛮行があったことは間違いなかろう.
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