連載 衛生行政キーワード・29
ES細胞
海老名 英治
1
1文部科学省研究振興局ライフサイエンス課
pp.261-262
発行日 2007年3月15日
Published Date 2007/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100731
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ES細胞(本稿では,特にヒト由来のES細胞を中心に記載する)は,脊髄損傷やパーキンソン病等の難病の新たな治療法に道を示すと言われている細胞である.ES細胞は,胚性幹細胞(Embryo Stem cell)の通称であり,「胚」の言葉が示すように生命の萌芽である受精胚を滅失して作成される細胞であるため,医療の新たな展開が期待される一方,その取り扱いに関し,倫理的な配慮が求められている.
まず,科学的な側面であるが,比較的ヒトES細胞の歴史は浅く,平成10年11月に米国のウィスコンシン州立大学において樹立された(試験管内で長期にわたって性質を安定的維持して培養することが可能な状態で取り出すこと)という論文発表が最初の報告である.また,動物ES細胞では,昭和56年にマウスにおいて細胞株として樹立が報告されたのが最初の報告である.
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