最新基礎科学/知っておきたい
ES細胞:embryonic stem cell
岩本 範顕
1
,
岡野 栄之
2
1慶應義塾大学医学部整形外科学教室
2慶應義塾大学医学部生理学教室
pp.860-861
発行日 2001年7月25日
Published Date 2001/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408903323
- 有料閲覧
- 文献概要
胚性幹細胞(embryonic stem cell:ES細胞)は胚盤胞の内部細胞塊より作製された幹細胞で,三胚葉すべての細胞に分化することができる(全能性).ES細胞株は1981年にマウスを用いて初めて樹立され4),ヒトでは1998年に樹立された10).受精卵が図のように分裂を繰り返すと胚盤胞が生じる.胚盤胞は胎盤形成にあずかる外側の栄養外胚葉と内側の内部細胞塊から構成され,体を構成するすべての細胞は内部細胞塊から生じる.ES細胞はこの内部細胞塊を培養して得られ,未分化な状態で無限に増殖することが可能である.また,培養条件を変えることで神経細胞5),グリア細胞5),骨格筋細胞8),平滑筋細胞3),心筋細胞2),脂肪細胞1),血液細胞6)など,三胚葉すべての細胞に分化することができる.
Copyright © 2001, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.