アニュアルレポート
公衆衛生学のトピックス
中原 俊隆
1
,
里村 一成
1
1京都大学大学院医学研究科公衆衛生学
pp.209-211
発行日 2004年3月1日
Published Date 2004/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100545
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2003年,公衆衛生学分野で特記されることは,世界的にはSARS(Severe Acute Respiratory Syndrome:重症急性呼吸器症候群)の流行と,WHO総会で採択されたFCTC(The Framework Convention on Tobacco Control:たばこ規制枠組み条約),国内的には健康増進法の施行と平成16年度から実施される臨床研修の必修化に対応して「地域保健・医療」研修が実施されることになったことが挙げられる.
SARS
2002年末から2003年春にかけて,中国を中心に世界各地でSARSが流行した.初期症状は,高熱,筋肉痛などで,その後,咳,喉の痛み,呼吸困難など様々な呼吸器症状が発現する.これまでに,世界で8,098名の可能性例と774名の死亡者数が報告された(2002年11月1日~2003年7月31日,WHO).この感染症は,4月16日にWHOによって新種のコロナウイルスが原因であると発表されたが,まだ不明な点が多く,WHOや世界各国の公衆衛生部局が連携して情報収集を行っている.また,日本におけるSARS疑い例は52名,可能性例は16名,確定例0名である(累計数,2003年7月15日厚生労働省発表).疑い例および可能性例の全例について,SARS専門委員会はSARSを否定した.
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