調査報告
A市内の医療機関における結核予防法による定期健康診断の実施状況
坂野 知子
1
,
大井 洋
2
,
桜山 豊夫
3
,
上木 隆人
1
,
森 亨
4
1八王子保健所
2江戸川保健所
3東京都健康局医療政策部
4財団法人結核予防会結核研究所
pp.324-327
発行日 2004年4月1日
Published Date 2004/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100370
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1985年以降医療機関における院内結核集団感染が増加し,大きな問題として取り上げられている1).その要因として,医療従事者の結核への関心の低下や,結核既感染率の低下等が考えられる2).医療従事者は,結核菌に接触する機会が大きいとともに,結核はひとたび発病すれば感染源として大規模な集団感染の原因となる危険性があり,医療機関における結核感染予防対策の強化が急務である.
八王子保健所管内においては,2001年に,診療所の医療従事者から感染性肺結核患者が発生したことに端を発し,この患者からの感染が疑われた1都2県の計280名を対象に大規模な定期外健康診断を実施した.この事例では,幸い二次感染者および発病者は発見されなかったが,当該診療所における結核予防法上の定期健康診断体制の不備や患者本人の受診の遅れなどが,問題を大きくした一因と考えられ,医療機関における職員の健康管理意識が不十分であることが懸念された.
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