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うつ病対策―地域におけるうつ対策検討会報告から
植田 紀美子
1
1厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部精神保健福祉課
pp.298-300
発行日 2004年4月1日
Published Date 2004/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100362
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これまで以上にうつ病に対する関心が高まっている.これは,近年のうつ病の増加が背景にあることは言うまでもないが,加えて,以前よりもうつ病に対する社会的認知が高まってきた表れとも考えられる.受診行動を反映する厚生労働省の患者調査によると,うつ病を含む気分障害の推計総患者数は,平成11年では44万人であったのに対し,平成13年には1.6倍の71万人(多くが外来患者の増加)となり,他疾患も含め,これまでにない患者数の急増を認めている.また,最近の地域調査1)では,うつ病を経験した人は約15人に1人,過去12カ月間では約50人に1人であるにもかかわらず,うつ病を経験した者の4分の1しか医療を受けていないという結果が示された.うつ病は決して一部の人々の問題ではないにもかかわらず,その対応が適切になされていないことが示唆されたわけである.
一方,うつ病と自殺の関連も周知の通りで,厚生労働省が平成14年12月に公表した「自殺防止対策有識者懇談会」の最終報告2)において,うつ病対策は早急に取り組むべき実践的な自殺予防対策としても,きわめて有効であるとされている.
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