保健行政スコープ
介護対策検討会報告書にみる介護対策の今後の展望
瀬上 清貴
1
1厚生省大臣官房政策課
pp.140-142
発行日 1990年2月15日
Published Date 1990/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902904
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最近,在宅ケア,在宅医療,在宅介護,在宅福祉サービスあるいは生活の質(QOL)というキーワードが散見される.高齢化社会の進展および2000年には寝たきり老人が100万人にも及ぼうという推計(表1)をインパクトとして,保健,医療,福祉の各分野からこの課題に多くの取り組みが出てきたからであろう.
日常生活動作能力の低下した高齢者をどこでどのように世話していくべきかは,選択の問題である.施設ケアが良いのか,在宅ケアが良いのかは一概には言いきれない.家族への重圧,女性の社会進出への妨げ,住宅問題等を考えるならば,施設ケアが選ばれようし,医療社会資源の効率的活用という視点からは在宅ケアが選ばれる.同時に,我々はこの選択に当たって高齢者自身の視点を導入すべきである.つまり,社会的心理的な観点から,高齢者の生活の質への配慮をする必要がある.厚生省が在宅ケアの充実を政策として選択したのは,このような考え方による.
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