特集 「食育」の時代へ
食育基本法のねらいとその推進戦略―食事バランスガイドの活用を例に
武見 ゆかり
1
1女子栄養大学食生態学研究室
pp.344-349
発行日 2006年5月1日
Published Date 2006/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100293
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現在の日本には,栄養の過剰や不足,不規則な食生活による生活習慣病の増加,健康食品やサプリメントへの依存,BSEや鳥インフルエンザなどの事象に代表される食の安全・安心の揺らぎ,依然として先進国中最低の水準にある食料自給率など,食生活をめぐって多くの課題がある.こうした課題解決に向けて,国は昨年6月「食育基本法」を制定し,翌7月から施行した.法案の審議の過程で,食生活は基本的には個人や家庭の問題だから,「食」の学習や形成は法律として縛るようなものではない,という議論もあったと聞いた.しかしながら,今日,個人の「食」を規定する社会のフードシステムや健康・食情報のあり方を考えると,「食」は単に個人の問題としてだけ考えていては課題の解決に至らない場合も多く,社会や環境との関わりも含めてあるべき方向を議論し,取り組まねばならない時代になったということなのであろう.
本稿では,食育基本法のねらいとその推進施策を整理した上で,具体的な推進戦略の一例として,昨年6月に厚生労働省と農林水産省が合同で作成した「食事バランスガイド」の活用を考えてみた.
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