連載 感染症実地疫学・2
国際的な感染症対策ネットワーク
谷口 清州
1
1国立感染症研究所感染症情報センター
pp.128-131
発行日 2006年2月1日
Published Date 2006/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100244
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
2002年から2003年にかけて,世界の様々な地域に伝播したSARSや,それに引き続いて発生し未だ続いているアジア各地におけるトリインフルエンザウイルスによる家禽でのアウトブレイクと,それに引き続くヒトへの感染,あるいはこのような世界的脅威とまではいかないものの,各地でエボラ出血熱やニパウイルス脳炎などの新興感染症をはじめ,コレラ,デング熱,マラリア,メリオイドーシスなどのアウトブレイクが起こっている.多地域にわたるアウトブレイクや国際的な伝播が起こっている感染症アウトブレイクでは,国際的な連携・協力が必要となるが,限局した地域に起こっているものであっても,途上国など当該国の力だけで鎮圧することが難しい例や,放置すればその国での被害が拡大し,あるいは他の地域へも波及してしまう恐れのあるものなどについても,やはり国際的な対応が必要となる.
本稿では,時に政治的な問題も存在する国際的な感染症アウトブレイクへの対応について,現在唯一の世界的な枠組みとして機能している,GOARN(global outbreak alert and response network)について,その設立の経緯やメカニズム,そして現在の運営状況などについて記述する.
Copyright © 2006, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.