特集 コミュニティと関係性の再構築
病める「関係性」の再生をめざして
①自殺の分析からみた病める「関係性」と今後の対策
高原 正興
1
1京都府立大学福祉社会学部
pp.33-36
発行日 2006年1月1日
Published Date 2006/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100220
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本稿で述べる「病める関係性」とは,「現代社会における人々の関わりの型・方法の喪失」を意味している.それは,コミュニケーション能力,自己表現能力,人間関係の形成・維持能力などの弱化や欠如を表す概念である.現代社会の「関係性」は,その希薄化を基調としながら,浮遊,濃密化,歪みの各方向にブレる(複雑に絡む)という特徴を示している.
関わりを持つことに疲れ,関わりを放棄する自殺は,そのような「病める関係性」から生じる典型的な社会病理現象であり,浮遊する関係性ゆえの青少年の自殺,濃密化・歪む関係性ゆえの中高年の自殺がある1).
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