特集 予防接種
各種予防接種の要点
麻疹ワクチン
川上 勝朗
1
Katsuro KAWAKAMI
1
1大阪医科大学小児科
pp.773-777
発行日 1981年10月15日
Published Date 1981/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206400
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小児のウイルス性疾患は数多いが,麻疹はすべての人が一生に1度は罹患することを運命づけられた疾患であった."はしかは子供の命さだめ"とは古人の言であるが,麻疹は重症疾患であって,栄養失調や基礎疾患のある小児が罹患すると致命率は高い.わが国の統計でも敗戦後の昭和22年,2万人をこえる麻疹死亡が記録されているのである.もちろん,その後は衛生状態の改善,栄養の向上,抗生剤による二次感染としての肺炎の予防,治療などにより,わが国の,ここ10年間の麻疹年間死亡は年間約140〜400と減少しているのであるが,麻疹ワクチンの適切なる使用により,麻疹を減少,消滅せしめることも不可能ではない.
以下,主としてわが国の麻疹ワクチンにつき,その大要,問題点を述べる.
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