特別寄稿
血液透析患者の医療情報の授受に関する患者と医師の認知
浅川 達人
1
,
西 三郎
2,3
1放送大学教養学部
2元国立公衆衛生院
3現国立保健医療科学院
pp.394-397
発行日 2005年5月1日
Published Date 2005/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100086
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問題の所在
患者への説明,すなわち“Informed Consent”の重要性が唱えられて久しい.特に近年,患者は自己決定権に基づいて自らの権利として説明を要求するようになった.読売新聞の「医療に関する全国世論調査(1996年)」の結果を受け大平は,患者への説明は「医師が仮にそれを行ったつもりでいても,患者がそれを受けたと感じていなければ回答は[否]となり,その反省が必要となる1)」と医師の自戒を促している.
医療情報の授受は,残念ながら情報提供者の努力だけで十全に行えるものではない.大平も指摘しているように,受領者側が提供を受けたと感じること,すなわち受領者が能動的に情報を受け取ることが必要不可欠である.したがって,医療情報の授受の実態を把握するためには,提供側と受領側の両者を対象として調査を行うことが必要となる.
血液透析患者とその担当医師の両者に対して,全く同一の質問項目を用いて医療情報の授受について尋ねた調査がある.「全国腎不全患者(血液透析患者に限定)の医療と生活等についての実態調査」がそれである.この調査から得られたデータを用いて,血液透析患者の生活実態,就労実態などについて分析した結果が,既に報告書としてまとめられている2,3).
本稿では,この調査から得られたデータに基づいて,医療情報の授受の実態を明らかにした上で,そこに潜む課題を指摘する.
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