特集 結核対策新時代―結核予防法のリビジョン
結核対策に関する国のPolitical Will
牛尾 光宏
1
1厚生労働省健康局結核感染症課
pp.180-183
発行日 2005年3月1日
Published Date 2005/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100039
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平成16年の通常国会で,結核予防法の一部改正案が成立した.この国会は年金国会とも言われたように,厚生労働省提出法案としては年金改正案ばかりが注目された感があり,しかもその年金法案審議中断等の影響を受けて結核予防法改正案の審議も遅れたが,最後には与野党全会一致で成立し,安堵したことを今でも鮮明に記憶している.
法案提出に際しては,国会議員をはじめ多くの関係者にその背景や目的等をご説明させていただいたのだが,今日でも毎年わが国で約3万人の新規結核患者が発生し,また,約2,300人の方々が結核で死亡されている現状を説明すると,一様に驚きの声をあげられた.と同時に,コレラ,ペスト,腸チフスといった急性感染症の制圧に成功したことと反して,なぜ欧米先進諸国と比較して結核の諸指標が約20~30年遅れているのかということも,共通して呈示された疑問であった.また,親族等で結核に罹患された方も多くあり,身近な問題として捉えてくださり,「ぜひしっかり対策強化をするように」との励ましをいただくことも多かった.
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