特集 子ども虐待予防
[インタビュー]虐待する病理とその予防法(2)―心理学の立場から
大日向 雅美
1,2
1恵泉女学園大学
2港区子育てひろば「あい・ぽーと」
pp.12-18
発行日 2005年1月1日
Published Date 2005/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100002
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本誌 本日は,母性についての研究者であり,2003年9月から東京都港区の「あい・ぽーと」という子育てサポートハウスの施設長になられた大日向雅美先生にお話を伺っていきたいと思います.最初に,先生が虐待問題にかかわり始めた経緯からお願いします.
虐待と社会背景,支援体制
大日向 私が虐待問題にかかわるようになったのは,今から30年程前に起こった「コインロッカーベビー事件」がきっかけです.ちょうどあの頃から,子どもを愛せない,育児がつらいという理由で,母親が赤ちゃんを殺したり捨てたりする事件が目立つようになりました.それに対する当時の社会の反応は「母親が子どもを愛せないなんて異常だ,母親失格だ」というものでした.しかし全国調査を実施してみると,育児がつらくて苦しみ「私は母親失格ではないか」と悩む母親たちがたくさんいました.そういう母親の声を聞いたことが,私の母性研究の始まりでした.以来30年余り,育児に悩み,不安を持ち,ストレスをためる母親たちの声を聞いています.
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