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■症例
85歳の女性。身長155cm,体重43kg(ドライウェイト)。日曜日の14時に入所施設の自室で転倒した。経過観察されていたが,股関節痛のために歩行困難となり,17時に前医に救急搬送され,大腿骨近位部骨折疑いで20時に当院へ救急搬送された。精査の結果,左大腿骨転子部骨折の診断で入院となり,来院翌日の月曜朝に手術申し込みがあった。
35歳時にIgA腎症を原因とする慢性糸球体腎炎を発症し,50歳時に末期腎不全に対し血液透析が導入されていた。シャントは左前腕で,透析日は月水金,除水量は約1000mL。透析効率は良好で,除水に伴う血圧低下などの合併症なく経過していた。高血圧症はカルシウム拮抗薬とアンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)の内服でやや高めで推移していた。そのほかに脂質異常症,甲状腺機能低下症,骨粗鬆症は内服薬で治療されていた。軽度の認知症はあるが,コミュニケーションは良好であった。施設での食事や入浴は介助なしで可能で,散歩やグランドゴルフをしていた。
術前の血液検査結果は,ヘモグロビン値(Hb)10.0g/dLの軽度貧血,血清アルブミン3.5g/dLの軽度低栄養,クレアチニン4.5mg/dL以外は基準値内であった。特に,血小板数,プロトロンビン時間(PT),活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)は基準値内で,臨床的な出血傾向や止血困難のエピソードはなかった。心電図は軽度の左軸偏位,経胸壁心エコー検査(TTE)で拡張能障害と大動脈弁閉鎖不全があったが,いずれも軽度で胸部症状はなかった。胸部X線写真に異常所見はなかった。口腔内所見は部分義歯で気道確保困難要因はなく,喫煙歴やアレルギーもなかった。
以上からASA-PSはⅢと評価した。
さて,あなたならどうする?

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