症例ライブラリー この無痛分娩依頼 どうすればいいですか?
脊髄幹麻酔による神経障害の既往がある妊婦
杉田 道子
1
Michiko SUGITA
1
1熊本大学病院 産科麻酔学寄附講座
キーワード:
ダブルクラッシュ現象
,
馬尾症候群
,
一過性神経症状
,
TNS
,
局所麻酔薬神経毒性
Keyword:
ダブルクラッシュ現象
,
馬尾症候群
,
一過性神経症状
,
TNS
,
局所麻酔薬神経毒性
pp.1152-1155
発行日 2025年12月1日
Published Date 2025/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.134088360320121152
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
■症例
32歳の女性。身長158cm,体重60kg(非妊娠時56kg)。1妊0産。妊娠34週。無痛分娩希望のため,産科麻酔外来を受診した。その際の問診で,29歳時,他院で脊髄くも膜下麻酔下に痔核結紮術を行ったが,術後から左下肢のしびれと膝の違和感が出現し,しびれは数か月遷延したというエピソードが聴取された。そのため前医から診療情報提供書を取り寄せることとなった。
生来健康。喘息,アレルギーなし。家族歴には特記すべき事項なし。
〈診療情報提供書の内容〉
左側臥位にてL3/4より正中アプローチ,25G Quincke針で脊髄くも膜下穿刺し透明髄液確認後,高比重0.5%ブピバカイン2.8mLを投与した。穿刺時および薬液注入時に放散痛などの神経刺激症状は認めなかった。T11以下の痛覚遮断を確認し,体位をジャックナイフ位とし手術は問題なく終了した。
手術終了から9時間後,右下肢の感覚,運動は完全に回復したが,左下肢の感覚運動障害が残存していた。術後1日目の診察時,左下肢L5〜S1領域にアロディニアを伴う感覚低下(2〜3/10)と,左下肢徒手筋力テスト(MTT)で1〜2/5と運動障害を認めた。膀胱直腸障害は認めず,MRIでも明らかな異常所見は認めなかった。ミロガバリン内服とリハビリテーションを開始し,術後7日目に歩行には問題なくなり退院となったが,しびれは数か月残存した。
さて,あなたならどうする?

Copyright © 2025, MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD. All rights reserved.

