症例ライブラリー 下肢の末梢神経ブロックがうまくいかない
股関節手術の末梢神経ブロックがうまくいかない
佐古 澄子
1
Sumiko SAKO
1
1旭川医科大学病院 麻酔科蘇生科
キーワード:
THA
,
大腿骨頸部骨折
,
腰神経叢ブロック
,
Shamrockアプローチ
,
PROSPECT
Keyword:
THA
,
大腿骨頸部骨折
,
腰神経叢ブロック
,
Shamrockアプローチ
,
PROSPECT
pp.330-333
発行日 2025年4月1日
Published Date 2025/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.134088360320040330
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
■症例
68歳の女性。身長158cm,体重65kg。右変形性股関節症のために右人工股関節全置換術total hip arthroplasty(THA)が予定された。2年前にも左側のTHAを行っており,全身麻酔と腰神経叢ブロックで管理されていた。そのほかの既往歴や手術歴はなく,抗血小板薬・抗凝固薬の内服はない。術前血液検査,胸部単純X線検査,呼吸機能検査,心電図検査で異常を認めなかった。
術前の問診で「前回の手術のときは,お尻の後ろのほうの痛みがつらかった」とのことであった。前回の左側THAは後方アプローチで行われていた。THAの術後疼痛に関与する神経は大腿神経,閉鎖神経,副閉鎖神経といった腰神経叢腰由来の神経が中心である。しかし,後方アプローチでは大臀筋や股関節包後方を支配する仙骨神経叢も疼痛に関与する。前回の手術後の「お尻の後ろのほうの痛み」はこの仙骨神経叢由来の疼痛が強かったものと考察された。
今回も後方アプローチでのTHAが予定されていたため,麻酔計画は前回同様に全身麻酔と腰神経叢ブロックを行い,さらに傍仙骨坐骨神経ブロックを追加して行うこととした。

Copyright © 2025, MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD. All rights reserved.