提言
お母さんと赤ちゃんのよすがになる—産後ケアで母子と地域と応答し合う
猿田 真理絵
1
Marie Saruta
1
1奥州病院
pp.592-593
発行日 2026年7月15日
Published Date 2026/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091513540600070592
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「おめでとう」から始まる闘い
「ご出産おめでとうございます!」という弾んだ声に見送られ,病院の玄関をくぐったあの日.私の手元には愛おしい宝物と,きっと楽しいであろう子育てへの期待がありました.たくさん抱っこして,いっぱいこの子と遊ぶんだ.
しかし,実際に待っていたのは育児書やSNSに載っているような「キラキラした育児」ではなく,365日24時間営業,ろくに睡眠も食事もとれない過酷な日々でした.特に私を苦しめたのは,いわゆる腱鞘炎と肩こりでした.頭を洗う,お茶を注ぐといった,かつて無意識にこなしていた「作業」ができない.そして,子どもができたら一番大切にしたいと思っていた「抱っこ」ができない.加えて,「作業療法士だから自分の身体くらい何とかできる」という自負も,産後のホルモンバランスの荒波にもまれ,見る影もなくなっていました.母親という新しい役割に翻弄され,母親として,作業療法士としてのアイデンティティを喪失していく感覚は,簡単に私を深い暗闇に突き落としました.
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