増刊号 就学・就労支援
第1部 総論
6 障害者就労支援人材の資格化—障害者就労支援士(仮称)の創設:厚生労働省職業安定局の視点から
安蒜 孝至
1,2
Takashi Ambiru
1,2
1厚生労働省 職業安定局 障害者雇用対策課 地域就労支援室
2独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 高齢者雇用推進・研究部
pp.753-756
発行日 2025年7月20日
Published Date 2025/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091513540590080753
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資格創設の背景
障害者雇用は実雇用率が過去最高を更新する等,着実に進展している.2024年(令和6年)6月1日現在の実雇用率は2.41%で,法定雇用率制度の創設後,初めて実績を集計した1977年(昭和52年)の1.09%から,その後,約半世紀の間に約2.2倍の水準に増加している.この間,障害者雇用を取り巻く環境は大きく変化してきた.雇用率制度は,当初,身体障害者のみを対象とした制度として始まり,その後,1988年(昭和63年)に知的障害者,2006年(平成18年)に精神障害者を算定対象とし,対象者を拡大している.それにより特にこの10年間で,精神障害者や発達障害者の雇用が大きく進展している.また,障害者雇用の進展により,就業する中高年の障害者も増加している.障害者の意識の変化や合理的配慮の進展等により,重度障害者の就労ニーズの高まりもみられる.
このような大きな変化の中,障害者の就労支援ニーズは多様化し,障害者就労を支える人材の質・量の不足が課題となっている.①障害者の就労支援に携わる人材の雇用と福祉の両分野の基礎的な知識やスキルが不十分であること,②専門人材の実践的な研修の機会が限られていること,③障害者就労支援分野の人手不足が深刻化していること,といった問題が顕在化している.

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