Close-up アントレプレナーシップ—その概念と医学・理学療法への応用
アントレプレナーシップの基礎概念—医学・医療職における「価値創造」の視点
谷口 達典
1
Tatsunori TANIGUCHI
1
1株式会社リモハブ
キーワード:
起業
,
アンメットニーズ
,
バイオデザイン
,
医療機器
,
遠隔心臓リハビリテーションシステム
Keyword:
起業
,
アンメットニーズ
,
バイオデザイン
,
医療機器
,
遠隔心臓リハビリテーションシステム
pp.1174-1177
発行日 2026年10月15日
Published Date 2026/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091505520600101174
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はじめに
「アントレプレナーシップ(entrepreneurship)」という言葉から,多くの読者がまず思い浮かべるのは「起業」,すなわち会社を立ち上げることではないだろうか.しかし,アントレプレナーシップの本質は起業という行為そのものにあるのではない.経営学者のStevensonら1)は,アントレプレナーシップを「コントロール可能な資源の制約を超えて,機会を追求する思考と行動」と定義した.ここで強調されているのは,手元にある資源や与えられた役割の範囲に捉われず,価値を生み出す機会を見出して行動する姿勢である.これを医療に応用するならば,「臨床現場に存在する未充足ニーズ(アンメットニーズ)を見出し,それを解決へと導く思考法」と言える.起業はその表現型の一つにすぎず,臨床,研究,学会活動,あるいは所属組織のなかでの業務改善においても,アントレプレナーシップは実践可能である.
本稿では,この「価値創造の思考法」としてのアントレプレナーシップの基礎概念を,医療機器開発の人材育成プログラムであるバイオデザインと,筆者自身の遠隔心臓リハビリテーションシステム開発の経験を通じて概説する.

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