遠隔理学療法実施に必要な機器・環境整備の現在地

はじめに

　遠隔理学療法（telephysiotherapy）は，遠隔医療（telehealth）の一分野として少しずつ広がりをみせている．特に新型コロナウイルス（COVID-19）のパンデミック以降，対面での理学療法が困難となった状況下において，遠隔による代替的アプローチが求められるようになった．

　近年の情報通信技術（information and communication technology：ICT）の発展やインターネットの普及により，ビデオ会議システムなどの遠隔通信技術を活用した，患者と物理的に接触しない理学療法の実践が可能になっている．これは感染対策が求められる状況に限らず，医療資源の限られている地域や，通院や訪問が困難な環境においても理学療法を提供できる手段として期待されている．また，海外では遠隔理学療法に関する報告が増加してきているが，本邦においては研究としての報告も少なく，実臨床への普及には至っていない．

　本稿では，遠隔理学療法の現状を整理し，社会実装に向けた課題について述べる．