Japanese
English
症例報告
尺骨神経前方移行術後に肘内側部の弾発現象を呈したsnapping triceps syndromeの一例
A case of snapping triceps syndrome presenting with a snapping phenomenon on the medial elbow after anterior ulnar nerve transfer surgery
二村 涼
1
,
福吉 正樹
1
,
中川 宏樹
1
,
杉本 勝正
2
,
林 典雄
3
Ryo FUTAMURA
1
,
Masaki FUKUYOSHI
1
,
Hiroki NAKAGAWA
1
,
Katsumasa SUGIMOTO
2
,
Norio HAYASHI
3
1名古屋スポーツクリニックリハビリテーション科
2名古屋スポーツクリニック整形外科
3運動器機能解剖学研究所
キーワード:
弾発肘
,
上腕三頭筋内側頭
,
尺骨神経
Keyword:
弾発肘
,
上腕三頭筋内側頭
,
尺骨神経
pp.1381-1384
発行日 2025年11月15日
Published Date 2025/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091505520590111381
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要旨 症例はボート競技の社会人チームに所属する男性である.他院にて尺骨神経前方移行術後に右肘内側の弾発現象が出現し,尺骨神経の走行に沿った疼痛や違和感が継続していた.弾発現象を超音波にて可視化すると,上腕三頭筋内側頭内の索状物と内側上顆との間で弾発現象が生じており,これに伴い尺骨神経が腹側へと圧排される動きや,背側へと引きつれる動きが観察され,これらの動態に合わせて症状の再現を認めた.理学療法は,上腕三頭筋内側頭や同筋と尺骨神経との境界部に対する徒手操作を超音波ガイド下に実施することで,弾発現象が激減し症状の改善を得た.一般に肘内側の弾発現象は,尺骨神経脱臼が代表的な原因であるものの,それ以外にも上腕三頭筋内側頭の弾発現象により尺骨神経障害を発症するsnapping triceps syndromeという病態が存在する.本症例を通して,弾発肘に対しては本症候群を念頭に置く必要があり,その評価には超音波を用いた動態評価ならびに超音波ガイド下の運動療法が有効であると考えられた.

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