Close-up 大規模災害に対する支援体制
令和6年能登半島地震における経験と今後への期待
奥佐 千恵
1
Chie OKUSA
1
1珠洲市健康増進センター
キーワード:
令和6年能登半島地震
,
避難所
,
福祉
,
リハビリテーション支援
Keyword:
令和6年能登半島地震
,
避難所
,
福祉
,
リハビリテーション支援
pp.1347-1350
発行日 2025年11月15日
Published Date 2025/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091505520590111347
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令和6年能登半島地震の特性
2024(令和6)年元日,石川県能登半島を震源とする最大震度7の地震が発生した.この地震は,能登地方を中心に建物の倒壊,津波,火災,土砂崩れなどの被害に加え,断水,停電など広範囲かつ復旧に長期間を要する甚大なライフラインの壊滅をもたらした.被害は海底隆起や地盤沈下,液状化現象など広域にわたる土地の変形にも及び,インフラの損壊によって被災地への物資輸送や人材支援に大きな遅れと困難が生じたうえ,行政による初動体制が大きく制限されただけでなく,過去の災害経験や教訓を経て繰り返し構築・改善されてきた機動性の高い災害医療支援専門団体の初動活動すら難航した.
内閣府は,避難所に関して指針やガイドラインを示しているが,今回の震災において課題となった点に鑑み,2025年6月4日に行われた「防災庁設置準備アドバイザー会議」1)において,災害時やその後の復旧・復興期を通じて「場所(避難所)」の支援から「人(避難者,被災者)」を中心に据えた支援の充実への転換がとりまとめられ,その重要性が繰り返し指摘された.

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