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はじめに
下肢静止不能症候群(restless legs syndrome:RLS)は,成人の数%が臨床的に重大な程度に罹患している,まれではない睡眠関連性の運動異常症である12).RLSは臨床的に四肢,特に下肢を,不快感を伴って衝動的に動かしてしまうようなしびれを特徴とし,不動時に誘発され,運動時に軽快するので入眠時や夜間に目立ち,睡眠障害をもたらす12).RLSの最新の診断基準2)を表 1に示す.
RLSは一次性(特発性)と二次性に分けられる.一次性は,症状を説明し得るほかの医学的原因が存在しない場合で,全体の2/3を占める12).発症が45歳以下と相対的に若いことが多く,家族歴がしばしば確認されるが,臨床的評価を受けるのはしばしば50代以降になる12).これまでのところ,一次性の診断に決定的な検査はない.二次性は,鉄欠乏や腎不全,妊娠,末梢神経障害,薬剤(抗うつ薬や抗ヒスタミン薬など)で説明できる場合で,一次性というためにはこれらが否定されることが必要である.二次性では原因に応じた治療が優先される.
RLSの治療にあたっては,まず症状の頻度や重症度を評価し,飲酒の制限や日中の運動,睡眠衛生の改善など一般的な対策をするとともに,悪化に作用する薬剤の見直しや合併症(特に睡眠時無呼吸症候群)への対処をする12).検査としてはフェリチンを測定し,75ng/ml(最近では100ng/ml)以下のときは(貧血の有無にかかわらず)鉄を補充する.75ng/ml(最近では100ng/ml)以上のときはガバペンチンやプレガバリン,さらにドパミン作動薬を検討する12).
RLSは通常両側下肢に症状が出現するが,一側の例もある.195例の観察研究8)では,161例(男女比69:92)が両側性で,34例(12:22)が一側性であり,年齢や性別は似ていた.一側性例は厳密にいうと,一側性で発症し後に対側も障害されたものが23例であったのに対し,常に一側性であったのは11例であった.両側性から一側性を区別する有意な点として,一次性RLSと二次性RLSとの比較において,一側性例では二次性が一次性をやや上回った(44%:55%)のに対し,両側性例では一次性がかなり多かった(76%:23%)点と,家族性が両側性で36%と一側性の11%よりも多かった点が指摘された.
RLSをきたしやすい背景病態として上述したもの以外に,麻薬離脱や糖尿病性などのニューロパチー,多発性硬化症,Parkinson病,睡眠時無呼吸症候群などが知られている11,12).悪化させる薬物として,抗ヒスタミン薬,SSRI,ドパミン拮抗薬(制吐薬のプリンペランなど)がある12).脊椎脊髄疾患では特にきたしやすいとはいえないが,関連することもあり,また鑑別が紛らわしいこともある.以下では,何らかの脊椎脊髄疾患を有していてRLSを呈した自験4例を紹介する.各例の冒頭に,有していた脊椎脊髄疾患とそのRLSとの関連性を表示する.

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