書評
感染症薬学のひきだし—疾患・治療・制御の基本から応用まで
村木 優一
1
1京都薬科大・臨床薬剤疫学
pp.707
発行日 2025年8月20日
Published Date 2025/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091434910970090707
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現場で実践するために必要な知識や想いが詰まったひきだし
感染症にかかわる薬剤師の仕事は年々その幅が広がっています。抗菌薬の選択や投与設計にとどまらず,感染制御チーム(ICT)や抗菌薬適正使用支援チーム(AST)の一員として,チーム医療の中で積極的な関与が求められるようになってきました。そんな中で登場したのが,医学書院の『感染症薬学のひきだし』。この本はまさに“現場で使える知識と考え方”をわかりやすくまとめた一冊で,感染症を担当する薬剤師や認定資格をめざす薬剤師,これから現場に出て活躍をめざす薬学生に強くお薦めしたい内容です。
タイトルの通り,「ひきだし」という言葉がしっくりくる構成になっていて,現場でふと迷ったときにパッと開けて使えるツール集のような感覚があります。総論,感染症,治療薬,感染制御というひきだしがあり,例えば,「この抗菌薬の注意点は何だろうか,投与中はどのような点をモニタリングすればよいのだろうか?」など臨床的な疑問が生じた際にすぐに答えにたどり着きやすいよう構成されています。

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