最新基礎科学/知っておきたい
腸内細菌の基礎科学—食・栄養素と腸内細菌叢による腸内エコシステムとフレイル・サルコペニア病態
内藤 裕二
1,2
,
髙木 智久
2
Yuji NAITO
1,2
,
Tomohisa TAKAGI
2
1京都府立医科大学大学院医学研究科生体免疫栄養学講座
2京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学講座
1Department of Human Immunology and Nutrition Science, Graduate School of Medical Science, Kyoto Prefectural University of Medicine
2Department of Molecular Gastroenterology and Hepatology, Graduate School of Medical Science, Kyoto Prefectural University of Medicine
pp.1072-1075
発行日 2026年9月25日
Published Date 2026/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.055704330610091072
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はじめに
これまで,「長寿」という言葉を単純に“長く生きること”だと考えてきた.平均寿命が延びることは喜ばしい.しかし,ただ寿命が延びるだけでは,本当の意味での豊かな人生とはいえない.近年,世界ではLongevity(ロンジェビティ)という言葉が使われるようになった.Longevityは,long(長い)+-gevity(生きる期間)で構成されている.この言葉には,「単なる長生き」以上の意味が込められている.Longevityとは,健康で,社会とつながり,価値を生み続けながら生きることである.人生の期間をどう豊かに使うかという概念になりつつある.Longevityは受動的な結果ではなく,主体的にデザインするものとされている.健康がなければ,社会に関わることも,生きがいを持つことも難しくなる.
Longevityをデザインするうえでサルコペニア・フレイル対策は極めて重要である.既に,「サルコペニア・フレイルに関する栄養管理ガイドライン2025」1)が発刊され,治療・予防に向けた食・栄養に関する情報がアップデートされている.本稿では,食・栄養と腸内細菌により形作られる「腸内エコシステム」の役割を概説し,サルコペニア・フレイルの病態理解への一助となることを目指した.

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