特集 生活習慣病と整形外科疾患
緒言
藤田 順之
1
Nobuyuki FUJITA
1
1藤田医科大学整形外科
pp.5
発行日 2025年1月25日
Published Date 2025/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.055704330600010005
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日本では超高齢社会を迎え,「人生100年時代」と呼ばれる新たな時代に入りました.この中で,健康寿命を延ばし,高齢者の生活の質を向上させることは,医学界における重要な課題とされています.こうした背景のもと,2022年に日本医学会連合から「フレイル・ロコモ克服のための医学会宣言」が発表されました.この宣言では,フレイルやロコモティブシンドロームの予防と治療が健康寿命延伸の鍵であることが示され,国民の目標として「80歳で活動的な生活を維持する」ことを目指す「80GO(ハチマルゴー)」運動も展開されています.そのような中で,介護が必要となる主な要因には,脳卒中などの生活習慣病に起因するものと,関節疾患,脊椎疾患,骨折などの運動器疾患が大きな割合を占めています.一方で,日常診療においては,生活習慣病の発症や悪化が運動器疾患に関連している場合や,その逆のケースも少なくありません.こうした相互関係を整理し,理解を深めることを目的として,今回の特集を企画いたしました.
本特集では,まず総論として,疫学,スポーツ医学,リハビリテーション医学の視点から生活習慣病と整形外科疾患の関連について解説されています.続く各論では,整形外科診療で頻繁に見られる骨粗鬆症,慢性腰痛,変形性膝関節症,手根管症候群などの手外科疾患,靱帯骨化症,腰部脊柱管狭窄症について,それぞれの疾患と生活習慣病との関連性が詳述されています.いずれの総説も,現在最前線でご活躍中のエキスパートの先生方に執筆をお願いしたもので,どれも内容の充実した素晴らしいものとなっています.
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