Japanese
English
今月の主題 Post H. pylori時代の胃炎・胃症
症例アトラス
胃結核
Gastric Tuberculosis
山本 翔太
1
,
蔵原 晃一
1
,
大城 由美
2
Shota Yamamoto
1
1松山赤十字病院胃腸センター
2松山赤十字病院病理診断科
キーワード:
胃結核
,
乾酪性肉芽腫
,
肉芽腫性胃炎
,
特殊型胃炎
,
消化管結核
Keyword:
胃結核
,
乾酪性肉芽腫
,
肉芽腫性胃炎
,
特殊型胃炎
,
消化管結核
pp.34-36
発行日 2025年1月25日
Published Date 2025/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.053621800600010034
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疾患の概要
胃結核は結核菌Mycobacterium tuberculosisにより引き起こされる消化管感染症の一つである.結核菌はリンパ組織に生着することから,消化管における主な罹患部位はリンパ組織に富む回盲部である.胃はリンパ組織に乏しいため消化管結核の中でも非常にまれであり,消化管結核全体の3.8%と報告されている1).生来リンパ組織を欠く胃において胃結核はH. pylori胃炎(萎縮性胃炎)を背景とし,病変を形成すると考えられている.本症は肉芽腫性胃炎の一型に位置付けられる2).
本症の診断は病変部からの結核菌感染の証明に基づくが,診断に難渋する症例が多く,難治性胃潰瘍,胃癌疑い,粘膜下腫瘍(submucosal tumor ; SMT)などの診断で手術を施行され,術後の病理組織学的検査により初めて確定診断される例も少なくない1).治療において抗結核薬の効果は良好で,肺結核に準じた内科的治療による治癒が期待できるが,出血や閉塞,巨大な乾酪壊死を伴う場合には手術を要することもある.
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