書評
—《シリーズ・高次脳機能の教室》—失行の診かた—河村 満 シリーズ編集 近藤 正樹 著
中川 賀嗣
1
1北海道医療大・リハビリテーション科学
pp.1175
発行日 2026年8月15日
Published Date 2026/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.048812810680081175
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本書は高次脳機能障害に携わり始めて間もない方々が,失行を基礎から学び,理解することをめざした書である。失行の概念,症状は難解であり,そのため読者にとって説明が詳しすぎると整理しづらいものとなり,逆に簡潔すぎると言葉足らずで,文脈を理論的に追跡できなくなる可能性がある。本書は平易さを保ちながらも,体系的に理解できる説明がなされているため,絶妙な按配の入門書というのが私の印象である。
失行を理解するには,「運動機構」(ボトムアップ的な理解)とその「制御方法」(トップダウン的な理解)の両方の理解が求められるが,本書は,この2つをわかりやすく解説し,網羅してくれている。特に図を豊富に用い,コラム(補足説明)を活用することで,用語や概念の難しさを解消している。本書のわかりやすさ,面白さは各章の見出しからも垣間見ることができる。例えば第1章は「どうして,失行は難しいのか—『動き』と『道具』を手がかりに」である。こうしたわかりやすい表現,魅惑的な表現での解説が,「運動・感覚を支える生理学的知見」「古典的失行論から現在までの主な失行論」「評価の実践的な方法」「リハビリテーションの意義」についてなされている。

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